ひとりでできるかな_手術 in シンガポール

駐在3年目、アラフォー海外単身赴任。シンガポールでの腹腔鏡下筋腫核出術、子宮鏡下核出術、腹腔鏡下卵巣嚢腫摘出術、ポリープ摘出術の体験記

プロローグ

直視せよ、それは中年太りではない

思えば「それ」の存在に気付いたのはもう1年近く前のことだった。

東京からシンガポールに転勤して1年が過ぎ、激務にも味が訛りが強い現地の発音にも湿気が多い気候にも慣れてきた頃だ。*1

 

明らかに、下っ腹が出ている

 

当時38歳、それまで「飲んでも食べても(劇的には)太らない」を自任してきたもののやっぱり寄る年波には何とやらで加齢には逆らえない。毎日ラクサ*2の生活はやっぱり太るよなあ、控えないとなあ、と思った。いや思おうとした。

 

しかし、同時に気付いてもいた。

その出っ張った下腹部に触れると、指が明らかな異物に触れることに。

何度も気のせいだと思おうとした。しかし、見えた聞こえた匂ったことなら気のせいにもできようものの「それ」は何度触れても厳然と下腹部で自己主張を続けている(と書くとエロ小説じみているがそういう話ではない)。「百聞は一見に如かず」という言葉があるが、それなら「百見は一触に如かず」と言えよう。そのくらい「それ」の硬さと大きさは指越しに禍々しい存在感を放っていた(と書くとエロ小説じみているがそういう話ではない)。

とにかく、私の「気のせいだと自己暗示をかける」作戦は功を奏さず、贔屓の鍼灸師に「お腹がすごく硬い、治療したほうがいい」と下っ腹に布団針レベルの鍼を刺されるわ、ベトナム出張で食中りになり駆け込んだクリニックで「このお腹、自分で気づいてる?紹介状書いてあげるから大病院で診てもらったほうがいい」と封書を渡されるわ、つまり私のお腹にかかわった誰もが「これは尋常ならざる事態である」と警鐘を鳴らしたのである。

 

 

「それ」=子宮筋腫について

ここまで、あたかも思い当たる節が全くないような書き方をしてしまったが、私にも「それ」に対する多少の知見はある。

子宮筋腫

何なら、12年前に手術したことだってある。そのときのメインは卵巣嚢腫のほうで、筋腫はついでに取っておくくらいだったけれども。

私が得た子宮筋腫に関する情報は以下。

  • 子宮内外にできる良性の腫瘍。悪性化は稀。
  • 発生原因は不明。遺伝、食生活、ストレス等々によるホルモン(エストロゲン)異常と言われているが究明されていない。
  • 40代女性の4人に1人が罹患しているといわれている。
  • 主な症状は月経不順、月経過多(に付随する貧血)、不妊、早産、腹部の痛み、頻尿。ただし自覚症状が全くないケースも多い。
  • 大きさは人によってさまざま。数㎝レベルのものから大きいと20㎝を超える例もある。
  • 閉経後には小さくなるが、手術やホルモン治療以外の方法で閉経前に小さくすることは困難。

 ここで着目したのは「閉経前に小さくすることは困難」という点である。

この下腹部に何かを身ごもっている状態はエクササイズ等では改善されない、ということになる。

 

さてどうしよう。

でも死ぬ病気じゃないし。

仕事忙しいし。

 

と言っているうちに月日が経ち、旧正月のホリデーで帰国したある日。

お腹はいよいよ成長を続け、妊婦といっても疑われないくらいになっていた(生まれないけど)。

休暇のはずなのに絶え間なく送られてくる上司からのメール。上司も多忙なので仕方ないとは思いつつそっと開くと、そこには

「休暇中かとは思いますが明日までに○○(=結構重いレポート)の提出をお願いします」

 

……。

頭の中の「ワークライフバランス」という言葉が「仕事か生活か」、否、「仕事をとるか命を取るか」に変換された瞬間であった。

 

仕事を言い訳に現状から目を逸らしている場合ではない。

そうだ、病院行こう。

レポート終わってからね…

 

 

*1:いや、正直激務にはいまだに慣れていないが、それはさておき

*2:シンガポール土着の麺。ココナッツミルク+魚介ベースで美味だが当然カロリーは高い